Rinaさんの海外大学進学
Rinaさんの海外大学進学の挑戦の記録
この夏、東京大学を1年生で休学して、カリフォルニア大学サンディエゴ校に1年生として入学したRinaさんの、教室での学習の歩みの記録です。
※こちら私個人のための記録用のような意味合いもあり、情報の羅列で決して読みやすいものではありませんが、ご興味のある方はご一読ください。
Rinaさんは、中学2年生の時から教室に通い始めてくれましたが、その頃から明確に目標を持って、コツコツと努力ができる生徒さんでした。その時は知りませんでしたが、どうやら国内最高峰の大学を目指して、他教科でも勉強を重ねていたようです。(最終的に、おそらく高校2年生の時点で、大学入学共通テストで、主要科目で高得点を取れるくらいには仕上げるイメージで、それまで努力をされてきたのだと思います。その結果、かなり準備がヘビーなアメリカ大学への受験準備と、国内最高峰大学との併願を実現されました。)
英語学習での取り組み
教室に通い始めてからの、英語における、初めての挑戦は準1級。
それまでに、すでに2級に合格されていました。本人は準1級の受験へまだ自信がない様子でしたが、語彙力もしっかりとすでにあり、英作文でコツを掴めば、すぐに合格されると思われる実力でした。
そして、その冬すぐに合格。
判定の上で、準1級に合格はされましたが、その後も次の1級を目指しつつも、ただ目的の級に合格すればOKではなく、本当にきちんと実力をつけるために、すでに受かった準1級レベルの読解にも、継続的に取り組んでいきました。
教室でのレッスンは全て、年齢が上がっていく毎に、オールイングリッシュとなっていきますが、私とRinaさんのレッスンも、基本的に最初から最後まで英語で行われました。脳を英語モードにし、英語で思考していけるようにするためです。そのため、英検の過去問などに一緒に取り組む際も、単語の意味なども英語を使って文脈をたくさん提示しつつ、極力英語でしていきます。
中学2年生の時点では、海外進学の話はまだ出ていませんでしたが、せっかく高いレベルの英語が身につきつつあるのだから、海外に何らかの形で留学することはオススメしたいと思い、この頃に「TOEFL iBTという試験もあって、アメリカに留学をする場合は、必ずいる試験だよ」ということをお伝えしました。実際、英検準1級に合格するあたりから、TOEFL iBTのレベルにも無理なく取り組めるようになります。
またこの頃 「なぜ『偏差値50の公立高校』が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?」という本を「こんな本もあるよ」と貸したような記憶があります。
さて、準1級合格後、どのように英語学習に一緒に取り組んでいったかというと、中学3年生の時は、日本の高校の英語の教科書を中級のものから、上級のものを何冊も読んでいきました。その活動は、一人でする読書のようなものなので、主に宿題として出したので、私が横について一緒に読む形ではなく、どちらかと多読のような目的で使っています。高校の教科書は、実はさまざまな出版社から、色々なレベルが多種多様に出ています。「読解力」と「(書く)表現力」をつけるために、別々のレベルの教科書を使いました。進学校向けの教科書は、Rinaさんのレベルに合ったものを選び、読解力を身につけるために使用しました。そしてRinaさんの力より易しめの高校の教科書は、その文章を書き写すことで、表現力を自分のものにできるように取り組んでいきました。ただしただ書き写すのではなく、一文を(最初の大文字からピリオドまで)を一気に書き写す取り組みです。途中まで見て、写してまた見て写す、ではなく、頭に入れて記憶から引き出しながら写すと言う活動です。内容が理解していないと、文全体は頭に入らず、ゆえに書ききれませんから、読解力も大切になります。これはかなり単調なのに大変でしんどい活動ではありますが、力がつくと信じた取り組みで、Rinaさんも実直に取り組み、複数冊の教科書を終えました(偉かった・・・)。
中学3年生の冬から高校1年生の春にかけては、大学入試に必要になる主要な英文法を、私が高校の教員時代に生徒の大学受験用に手作りした参考書を使って網羅してもらいました(これは教室に通う全ての生徒さんにも使用してもらっています)。
高校1年生になると、英語のアウトプットの力を上げるために、TOEFL iBTのスピーキングテストとライティングテストに試しに取り組み始めました。
そして夏頃に、「アメリカの大学の直接留学に挑戦したい」という話が、Rinaさん本人から出てきて、私は興奮したことを覚えています。「いいやーん!頑張ろう!」とすぐに答えただろうと思います、私のことなので…。受験中も、合格後も、「うらやましいな〜!私ももう一回行きたい!」を連発していた私です。
さあ、アメリカの大学に直接入学となると、TOEFLだけではなく、SATという、日本で言うところの大学入学共通テスト(旧センター試験)にあたるアメリカの試験の受験も必要になってきます。これは、日本の共通テストとは違い、2科目のみで大丈夫です。英語(つまり国語)と数学の二つです。数学は日本の数Ⅰ数Aのレベルで十分高得点が取れるとされてるので、あまり心配はいりません。SATの英語(国語)の問題は、私も知らない単語が随所に出てくるレベルです。Rinaさんは、初めての受験で、全体の受験者のトップ5%という結果を出しています。それでも、目指していた大学のレベルがトップの中のトップのレベルだったので、目標としているスコアには届いてはいない状態でした。
全体を通してRinaさんの何よりも素晴らしかったところは、主体的に調べて準備に取り組んだことと、さまざまなSNSも駆使して海外代を受験した先輩たちと繋がって、自らが生の情報収集をしていたことです。また、視野を小さく県内に縮こまらせないように、日本全国の同年代の学生ともSNSで繋がり、自分のモチベーション維持にも努めていたようです。
その当時所属していた高校からも、アメリカの大学に直接入学に挑戦するのは、Rinaさん一人でしたし、おそらく石川県の中でも唯一だった可能性があります。自分で道を開拓していかなければならないことを、むしろ自分への刺激として、エネルギーとして取り組んでいるようでもありました。
私にとっても、サポートは手探りで始まりました。私自身がした留学は、「交換留学」という、日本の大学に所属しつつ、その大学から派遣されるタイプの留学で、Rinaさんの挑戦する、日本の高校を卒業後に、直接現地の大学に進学して4年間過ごすようなタイプのものではなかったので、TOEFLは必須ではありましたが、SATは必要ありませんでした。ですから、テスト以外の実際の受験に必要な準備についても、私自身も積極的に情報を収集しつつお手伝いをしていくことになりました。
アメリカの大学の受験には、合格を勝ち取るための学習面での準備だけではなく、費用面での準備も欠かせません。なぜなら、学費が目ん玉が飛び出るほど(…失敬)高額なのです。その後、さらに円安も加速したため、一家庭が持ち出しで学費と生活費を工面することは、超大企業社長くらいの年収がないと(←ごめんなさい、完全に想像でのお話・・・^^;)、ホイホイとは出せない金額なのです。
ではどうやって、費用を準備するか、それは奨学金への応募です。日本の一般的な高校や大学進学の際の「奨学金」と言う名前の借金ではなく、本当に頂ける給付型の奨学金です。近年、数百万円を超える大型の奨学金も出てきており、競争率もそれに伴って高まってはいるものの、この奨学金に合格すれば、学費だけでなく、生活費も工面される場合もあり、結果的に日本の大学に進学するよりも、経済的な負担が軽い状態で、進学ができる可能性もあります。Rinaさんは、SNSで繋がった海外大学進学者の先輩たちにも情報をもらいながら、複数の大型奨学金に、高校3年生の夏頃から応募し始めます。その中のうち大型の奨学金2つに合格し、高校3年生の冬の時点で、アメリカのトップ大学にあと合格さえすれば、費用面は大丈夫という状態になっていました。(さまざまな奨学金の情報を集めたサイトは末尾で紹介します)
アメリカの海外大進学に必要なのは、前述の
– SATスコア
– TOEFL iBTスコア
の他に、以下のものがあります。
– GPA(評定平均値のようなもの) ※オール5でGPA 4.0のようなイメージで、数値が重視されます
– 課外活動(学校の勉強以外で取り組んだことのリスト)
– 受賞歴のリスト
– エッセイ(自分についての創造的な作文)
– 学校の先生をはじめ、自分をよく知る複数の人からの推薦状
「課外活動」つまり、学校での勉強以外で、どんなことに興味関心を持って打ち込んだかについても、受験の際にアピールをする必要があります。
課外活動
Rinaさんは、どんなことに取り組んだのか。高2の夏から、自分の将来の興味関心(その時は医療分野やデザイン&アート)に関することについて、医療機関や英術大学が開催している活動などに応募して、活動を深めていきました。特筆すべき活動が、東京大学医科学研究所の教授に飛び込みでメールをして、夏の1ヶ月間、実際にラボで白血病の研究をさせてもらえるようにしたことです。この教授からは、のちに推薦状をもらうことになります。その他、興味があるアートの分野で、格式高い印象のある加賀友禅を身近に感じられるような、マスクなどに貼ることなどで手軽に自己流できるアートのキットを、実際に加賀友禅を扱っている工房に掛け合い作成し、医療機関に入院している小児患者に子供達が、辛い入院生活の中でも気が少し晴れるような機会を作ろうと奔走していました。コロナ禍の中、かなりの数の医療機関に掛け合い、実現をしました。その他、このような、「なんかすごそう」なことだけではなく、日本では「普通」である部活動も、立派な課外活動としてアメリカではアピールできます。
受賞歴
自分をアピールすることは「受賞歴」でもできます。Rinaさんは高2で自分の得意な物理を生かして、物理オリンピックに挑戦しました。予選を勝ち抜き、全国大会に進出して奨励賞を獲得しています(←かなりすごいことのようです)
さらに、「登竜門」と言う全国のコンテストをリストアップしているサイトから、Orange Cupと言うアイデアのタネコンテストというものを探し出し、「ICT(情報通信技術)を活用した新たなスポーツ体験」というテーマのコンテストで、優秀賞を獲得しました(私は課外活動も、受賞歴もノータッチでした)
Rinaさんは、その間もコツコツ英語にも取り組み、高校2年生の秋に、英検1級に合格されます。TOEFL iBTのスピーキングにも取り組んでいた成果もあり、英検の二次試験対策はほぼ完成していて、微調整のみで、一発合格されました(大都市でしか試験がないため、旅費を二度も家族に出させてはならぬ、と意気込んで練習のレッスンに臨みましたが、「もう準備できてるやん」と拍子抜けしたことを覚えています)。
エッセイについて
高校2年生の冬から、エッセイで扱う話題について、Rinaさんと共にアイデアを出し始めました。過去の出来事だったり、日々のことであったり、印象的なエピソードだったり、好きなことだったり、部活動のことであったり、成し遂げたことであったり、辛かった経験であったり、たくさん書き出してみて、大学の試験官にRinaさんの人となりを知ってもらえるようなトピックはどれか、考え始めました。高2の冬と高3の春は、教室としてのサポートはTOEFL iBTのスピーキング対策、エッセイの話題出し、が中心になっていきました。
日本でより一般的な、「大学院」の入試の方のエッセイは、野球であればストレートな球のような書き方が多く、大学院で研究したいことなどを、そのまま具体的に書いていく形が一般的です。一方で、四年制大学の入学のためのエッセイは、少し文学的というか、読んだ人に面白いと思ってもらえるような内容を書くことが必要となり、そこがネイティブではない私たちにとっては、難しい点といえます。「正しい英語の言い方」のような訓練はしたことがあっても「詩的なニュアンス」、「斬新な言い回し」みたいなのは、正直分かりません。私も、分からないことをRinaさんに正直にお伝えして、Rinaさんは最終的に、エッセイと入学書類一般は、ベネッセのサービスを併用して利用されました。
最初は、ベネッセの海外進学サポートの中で、誰でもお金を払うことでしてもらえるサポートサービスから受け始め(大手のサービスの中では、良心的な価格帯だと思います)、最終的にRinaさんはRoute Hと言うベネッセの海外進学サポートのグループに所属しました。これは、海外大学進学希望者のうち、世界ランキングのトップを目指せるとベネッセが判断した人のみが所属できるグループです。これにより、エッセイの添削など、複数のネイティブから添削を受けられるようになり、レスポンスも早くなったと伺っています。
この頃から、Rinaさんのリーディング力と語彙力は、おそらく私の感覚では、この頃竹内に追いつき、抜き始めたと思います。英語学習者としても、かなり自立したものになり、SATなどは、一貫してほとんど私からのサポートなしで、取り組まれています。
実際の受験について
Rinaさんの志望はIvy League(アイビーリーグ)という、アメリカの私立大学の中でも、名門とされる大学群に所属する大学でした。その中で、ペンシルベニア大学(通称ユーペン)で工学と医療の分野を学習したいと、第一志望にしました。Ivy Leagueの学校は私立なので、「公平公正」を第一としているというより、その大学独自の合格基準が自由に定められています。アイビーリーグは一般的に、「レガシー」と呼ばれる人たちを優先に合格させると公言しています。レガシーとは、「親がその大学を卒業している子供」のことです。レガシーではない生徒はFirst Generation(最初の世代)と呼ばれ、合格率が下がります。さらに、Rinaさんはアメリカ人ではない他国からの「留学生」の立場なので、基本的にはアメリカ人が優先される可能性が高いため、合格率がさらに下がります。以上のような厳しい基準の学校ではありますが、Rinaさんはここで学びたい、と受験を決めます。ペンシルベニア大(とその他の私立大学の多く)を受験する方法は二つあります。
– Early Decision
各大学によって若干呼び名は違いますが、日本でいうところの「推薦試験」のように、一般の試験より早い段階で受験をし、合格した場合は入学を確約するタイプの入試
– Regular Decision
通常の時期に、他大学とも併願できる形での受験が可能
Earlyの競争率は6倍強(合格率15%)となっていて、高倍率ですが、それでもRegularの約12倍よりは遥かに「マシ」な倍率です。RinaさんはEarlyに出願することに決めました。Earlyを受験した場合の結果の判定は、3種類あります。
– 合格
– 不合格
– Deferred =「持ち越し」
Deferredは、Earlyでは合格とされなかったけれども、見込みのある受験生とみなされ、そのまま願書がRegularに持ち越され、そこでもう一度合否を判断される、というものです。
この際、「不合格」とされれば、Regularの受験もできず、「来年来てね」という形になります。そうなれば、レベルが同様の、他のアメリカのアイビーリーグへの合格の希望も薄いと考えられるので、私としては試金石になるなと考えていました。
結果はDeferred。Rinaさんはもちろん大変ショックだったとは思います。でも、私は手探りでアメリカのトップ大学に受験に挑戦している中、とてもいい結果だと感じました。相手はアメリカの中で名門であるだけでなく、世界ランキングの中でもトップ10に食い込む勢いの大学です。そこに足切りではなく、Regularでももう一度再考させてほしいと思わせたわけですから、大いに合格の可能性が見えてくるからです。
このペンシルベニア大学にDeferredされた時期は、日本でいうところの受験本番直前の時期である年末に当たります。そして、それまでRinaさんはEarlyの結果を待ちながら、合格しなかった時のために、他の大学の受験のための書類作成やエッセイを準備し続けていました。
アメリカの大学受験には、Common Application(以下コモンアップ)と言う、一括して複数の大学に願書が出せる公式サイトのようなところがあります。日本は各大学にそれぞれ願書を出すのが普通ですが、アメリカは、そのコモンアップに必要事項を記入し、先生からの推薦状もオンラインでアップし、課外活動や受賞歴などを入力し、エッセイも一つをパソコンで打ち込めば、複数の大学に一気に出願ができます。が、しかし、Rinaさんが受験したアイビーリーグのうちほとんどの大学が、Supplemental Essays/Additional essay/Optional essayなどと言う、追加のエッセイ課題を出してきます。通常はコモンアップの課題のエッセイを一つだけ出せば良いのですが、その追加のエッセイ(しかも合格に大いに影響されると言われている)をそれぞれ仕上げる必要があり、それにRinaさんは夏以降ずっと取り組んできました。また、それと並行して、夏は国内の奨学金への申し込みの作業もあり(これも審査のために、かなりの量の書類が日本語と英語で求められる)かなりの時間的資源をそれに費やしてきていますので、一般的な国内の「受験勉強」と言えるようなものに取り組む時間は、特に高3の夏以降はかなり限られたものになってくるのが通常だと思います。(幸い…と言うべきかどうかは分かりませんが、Rinaさんの通っていた金沢大学附属高校は、授業中の内職などをめくじらを立てて厳しく注意されることが少なく、かなり自由度や許容範囲も高く、個人の判断と責任を尊重される学校だったようで、日中の学校での授業時間も、教科によってその時期に必要な海外大受験の準備に費やすことはできたようです。その点は少し特殊だったかもしれません。)
Rinaさんはその後、1月1日のコモンアップの締め切りを終えてから、やっと大学入学共通テストの勉強に切り替えられたとのことでした。そのような限られた期間で、5教科7科目が求められる国公立大学の最高峰の東京大学との併願などという超人技をどうやって成し遂げたのかと思いますが、私の把握できる範囲ですと、かなりの先取り学習を自分の専門となる分野で高2までに終えていて(Rinaさんの場合は数学や物理)、社会系の暗記教科は短期集中で詰め込み、国公立のための大学共通テストで課されるレベルを、足切りをされないレベルまで仕上げったのだと思います。ちなみに、国語が苦手だと当初言っていたRinaさんでしたが、エッセイ(英語)に取り組む中で、なぜか国語の成績が上がったと言っていて、興味深かったです。国公立は二次試験が、英語と自分の受験する学部などの専門分野であるのが通常ですので、大学入学共通テストが終了してからは、二次試験対策に全力集中で取り組まれたことと思います。
一般論ですが、国公立の二次試験の問題は、総合的に平均で6割ほど取れたら合格ラインに乗るように作られていると考えて差し支えないと思います。裏技…ではないのですが、天下の東大といえども、二次試験の英語で、英検1級のようなレベルの問題を出していては、受験生が6割も取れませんので、あっても準1級程度のレベルと見るのが妥当だと思います。その中で、英語(しかも配点が高いことが多い)で6割を優に超える点数を稼げたら、その他の専門教科(通常1,2科目)が万が一、4割程度になってしても、合格を勝ち取れる可能性があります。物理オリンピックの問題にも取り組んできたくらいなので、おそらく専門教科でもしっかり取れたと想像しますが、英語をぐんと伸ばしていることで、有利になった可能性はあったと思います。
しかし、注目すべきは、この時点で、Rinaさんには、国内外合わせてどこの大学にも合格が出ていなかったことです。日本の私立大学などは、その時点で受験されていないので(しかもほとんどの私立の受験は終わっている)、東京大学に合格できずに、アメリカのどこにも受からなければ、行くところがありません。アメリカの大学の、Early(先述の通常より時期の早い試験)の結果が出るのは年末ごろで、Regularの結果が出るのが、春となります。つまり、アメリカの大学の結果は、日本の全ての大学の合格結果が出た後や、さらには入学手続きを終えたようなタイミングに出る形になります。Rinaさんの心理状態としては、ペンシルベニア大学にDefferedされた後、かなり極限の状況だったと想像されます。その中で、本人も保護者も受験を迎えたことになります。Rinaさんの出された結果の凄さというよりも、その状況を耐え抜かれたこと自体が超人的だと思います。
このように、海外大への日本の高校卒業後の直接進学は、日本の大学受験(勉強一本、テストの点数と言う基準のみで選抜されることが一般的)とは、また違った特徴(総合的に判定し、人柄も見ようとする)があり、そのメリットも大変さもあると思います。
海外大学へ入学し卒業するメリット
将来目指す職業によっては(例えば日本の国家試験を受ける必要がある職業)、必ずしも海外大学進学が一番の近道ではありませんが、総合的な投資として、生涯賃金と言う点では、海外の大学への進学は費用対効果がかなり高い投資と言えると思います。昨今の円安の点でも、そもそも得られる給料等の収入がアメリカでは、ぐんと跳ね上がります。アメリカで就職を考えているのであれば、アメリカの4年生大学や大学院の卒業はほぼ必須となります。もしアメリカでの就職が難しかったとしても、日本に帰国して一般企業や、公務員などの総合職、はたまた起業、などと引く手数多で多くの有利な道があります。そして、そもそもそのような生涯賃金うんぬん以前に、母国を離れて、多様な人々の中で過ごす経験は、人生において自分を豊かにしてくれる経験ともなります。
今回紹介した「海外大への直接進学」の道は、Rinaさんのようなパターン(トップofトップを現役で目指した)以外にもありますし、また4年間の留学ではない方法(1年〜それ以下の短期)もたくさんあります。
生徒さんの将来の興味関心に応じて、たくさんの選択肢がある中の一つとして、参考にしていただければと思います。
そしてその後、Rinaさんには3月下旬〜4月の上旬に、カリフォルニア大学サンディエゴ校から生物工学専攻として合格通知が届き進学を決めました。
現在、Rinaさんは、カリフォルニアのビーチに程近いキャンパスで、西海岸の心地よい日差しを浴びながら、キャンパスを闊歩しています^^
余談 アメリカの大学の入学には、保護者の収入や職業や人種など、様々なことを報告する必要があります。その理由としては、統計的なデータとしてという側面もあるでしょうし、多様性を重視するお国柄で、様々な人種やバックグラウンドから取るべきであるという背景もあると思います。一方で、多様性を重視してきた揺り戻し(?)として、例えば2022年のカリフォルニア大学の入試においては、「カリフォルニア州立大学にもかかわらず、州外や海外からの留学生に合格を出しすぎている」という批判から是正勧告を受け、2022年の試験においては留学生の合格率を前年比から12.2%減少させたようです(参考文献) そんな中、Rinaさんは留学生としてよくカリフォルニア大学に合格を勝ち取ったと思います。
余談2 奨学金についてですが、前述した日本国内からのものの他に、受験する大学から直接奨学金をもらう方法もあります。特に自分の実力よりも低いレベル大学からは、奨学金が取りやすい傾向にあると思います。その奨学金の申し込みの際に提出しなければならないことが多い、CSSと言う保護者が準備すべき書類があり、これは本当に本当に準備の大変そうな書類です。保護者の納税報告書、所得証明、銀行預金残高証明 等、保護者が準備しなければならない類の書類を、アメリカの書式に合わせ、英語の説明を読みながら準備していくことになります。今回Rinaさんの保護者は、いくつかの理由によりCSSの提出を検討されたのち、取り止められました。書類準備の煩雑さもありましたが、一番はCSSを提出することで合格率が下がることが予想されたからです。大学としても授業料という歳入が必要で、それを免除するということは、それなりに合格基準が厳しくなって当然です。留学生として合格率が厳しい中、さらに合格率を下げる賭けには出ないと決められたという背景があります。その時点で、日本国内の奨学金は、授業料が工面できるほどは取れておらず、苦渋の決断ではありました。総じて、海外大学の受験は、保護者の覚悟もかなり問われる受験となります
最後に紹介するリンクは教室の方で作成した、「海外大への直接進学」に関する情報をまとめたページです。興味のある方はご一読ください^^ こちら