留学中に学んだこと3  Don't take it personally.

留学中に学んだこと3  Don’t take it personally.

留学中に初めて耳にした言葉で、振り返ってみると、その後とても自分を助けてくれたなと思うある言葉があります。

 

それは Don’t take it personally.という言葉。

 

教員を目指す人たちのためのクラスの中で、とても尊敬できる先生が「教師として大切なことだ」と、前置いてから発した言葉だったので、とても印象に残っています。
アメリカ人のクラスメイトたちは「うんうん!」と頷いていたので、アメリカでは馴染みのある言葉のようでしたが、私にとっては初めての概念でした。

 

Don’t take it personally.とは、少し日本語に訳しにくいですが、

誰かのネガティブな発言や行動に対して、それが自分だから向けられていることだと思うな

というような意味です。

 

私にとって、その後中学校の教師をする中で、この言葉を繰り返した場面はたくさんありました。イライラした思春期の生徒たちは、傷つく言葉や言動をこちらに目掛けて投げかけてくることもあります。その言葉や言動をダイレクトに受け止めてしまうと、かなり心がやられてしまうものです。けれども生徒たちの行動の裏側には、私と教室の中にいるその瞬間以外にも、多くの背景や出来事があります。その日の朝、もしかしたら家族と喧嘩をしてきたのかもしれない。友人関係に悩みがあって、イライラしているのかもしれない。勉強にもどかしさを抱えているかもしれない。もしかしたら、ただわけもなくイライラしているかもしれない。

まだ20代の頃、中学校の先生だった時の、私自身のエピソードです。新しく赴任した中学校で、授業をしていた4月のある日、3年生のクラスで、ある女の子に「近寄るな、うざい」と言われました。そんな風に攻撃されることは、日常生活ではなかなかありませんから、かなりショッキングではありました。その時も、Don’t take it personally.と自分に言い聞かせて、大きな問題にはせず、そのまま授業内容に戻りました。彼女がなぜそのような言動をしたのかは、その時はわかりませんでしたが、のちになって分かったのは、彼女は大好きな自分の担任の先生(英語)に自分の英語を見てもらいたかったです。それなのに、自分のクラスが二つの少人数クラスに分かれてしまい、自分の担当になったのは、どっかからやってきた見知らぬ先生(私)だったのです。彼女の言葉は適切ではなかったにせよ、「近寄るな、うざい」とつい口にしてしまった気持ちはわかりますし、その言葉は私が私だから投げかけられた言葉だったわけではなかったわけです。

Don’t take it personally.という言葉を知らなければ、私はその出来事の背景に意識を向けることなく、自分が自分だから攻撃されたと感じ、その子に対してマイナスな感情さえ抱いたり、自分の中に原因を探して不毛なことを考えてしまったことでしょう。人と関わる仕事をしている者として、自分の感情や人との関係をこじらせることなく冷静になれることが大切です。(もちろんこちらに原因があることもあるので見極めは非常に大切ですが、自分以外にも理由があるかもしれないという視点は、広い視野を提供してくれたと思います。)

 

そして、このDon’t take it personally.は教える立場の人にとってだけ必要な言葉ではありません。
どの人にとっても、自分を助けてくれるとても大切な概念だと思っています。
何かナイフのように心に刺さってくる出来事があった時、つぶやいてみるのも良いと思います^^

 

Don’t take it personally!