プロジェクト型学習
目次
・PBLとは
・生徒さんの作品成果1 熊に出会わないためには!?
・生徒さんの作品成果2 Memory Card Game
・成果物のダウンロード
熊が心配な季節になって参りましたね!
どうしたら熊を避けれるか、そんなことを考えて作られた簡単なゲームをプレイしてみませんか?
また、身近な方の認知症が心配だと感じている方はいらっしゃいませんか?もしくは、介護現場で高齢者の方々を支えて働かれている方はいらっしゃらないでしょうか?
そのような方々(と全ての方々)に向けて、グローバルカラーズの最上級生がPBLという活動を通じて作成したものを紹介いたします。
|PBLとは
教室のカリキュラムの一つの集大成として、PBLという活動を1期生と一緒に行いました。
これは、教室が勝手に作った造語というわけではなく、昨今実は注目されているProject Based Learning(プロジェクト型学習)と言う言葉の略です。
2022年度に高校に入学する1年生から、高校の新学習指導要領で、総合の時間の取り組みとして「探究」というものが導入されることをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。その探究活動とは、自分の興味関心を、通常の教科勉強の枠にとらわれず、探求し取り組むことのできる自由度の高い取り組みです。文部科学省が掲げた理念をもとに、各高校でカリキュラムを組んで、総合の学習の時間に取り組んでいくこととなります。このような「探求」が導入されることになった背景には、「問題解決能力」を育むことを大切に考えていた時代から、「問題発見能力」が問われる現代の時代に変わり、それに則した力を育もうという、意図があります。
新しい学習指導要領はまだ実施されて間もないですが、教室の方では一足先に、2021年度に1期生が、毎回のレッスンの内の15〜30分を利用しておよそ1年間にわたり、英語の枠を超えて、PBLの活動に取り組みました。自分の興味関心に則し、社会にも働きかける形で、何かプロジェクトを設定し、取り組んでいくというものです。
一人一人が、課題意識を持っていることを背景に、どうやってその問題に関して、社会を良い方向に変えたり、貢献していくか、を考え、実際にその成果物を人に見せて働きかけることを、大切なゴールとしています。
このHPでの発表も、その大事な一つの社会への働きかけとなります。そうです、今読んでくださっている方に向けて、生徒さんたちは作ったと言っても過言ではありません。
英語のレッスンと並行して、1期生が取り組んだプロジェクトの成果の一部を紹介させていただきたいと思います。(この二つのチーム以外も「誹謗中傷と批判の違いを知ろう」「LGBTQについて」「ポイ捨てをなくすには」など多岐にわたる課題に生徒さんたちは取り組みました。それら生徒さんたちは、活動の目標を、教室内でクラスメイトに対して発表することと設定しておりましたので、クラス内で完結しており、こちらのHPでは題名のみのご紹介とさせていただきます。)
さて、MasatoくんとNanaさんがPBLを通じて作成したのは「熊に出会わないためには!?」と言うスライドを利用した簡単なゲームで、これは地域の方に見ていただくことを念頭に置いています。
RinさんとAyunaさんが作成したのは「認知症予防 メモリーカードゲーム」と言うもので、高齢者と高齢者に身近な方々(介護士さんも含む)を対象としています。
|熊に出会わないためには!?
活動開始の前年である2020年は、熊の出没が石川県で社会問題になり、実際に鉢合わせをした住民が怪我をする事件も複数発生した年でした。そのこともあり、MasatoくんとNanaさんの二人は、熊に出会わないためにはどうしたら良いか、という探求を進めていきます。当初は、熊ではなく「外来種問題について」に取り組んでいましたが、調べて行く中で、実際に社会に働きかけて何か変化を起こすという点で、難点が浮かび上がってきたこともあり、探求する課題を変えることにしました。その中で、同様に自然に関することで、実際身近で問題になっていたことでもある熊の問題に取り組みようになりました。成果物としては、クイズ形式で楽しく学べる問題を作り、実際の成果物を見てもらう対象は、この教室のHPを通じて発表する、ということになりました。
当初は、「出会わない方法」ではなく、「実際に熊にあった際の対処法」についてのスライドを作っていました。出来上がったものが、一般に公表しても問題がないものであることを確かめるため、熊の生態に詳しい、石川県立大学の大井徹教授に、助言をしていただけないか、二人は依頼しました。地域の一教室の取り組みに、多忙な大学教授にコンタクトを取ることになりましたが、教授はすぐにレスポンスをくださりました。
そして、大井教授から二人がもらったアドバイスは、
– 熊に出会った時の対処法は、誰が(老若男女誰が)どんな風に遭遇したかの状況に応じて個々に違い、一つの正解というものがない。
– 熊に出会った時、ではなく「出会わないためには」、という視点に変更してみてはどうか、
という具体的なものでした。
そのアドバイスを受け、二人が改良をし、最終的に教授にもお目通しをいただいたのが、こちらのページの末尾に添付してあるパワーポイントです。手軽にプレーできるゲームになりますので、パソコンなどにパワーポイントのソフトが入っている方はぜひダウンロードの上、スライドショーからプレイしてください。
これから紅葉が綺麗な季節になり、山を訪れる機会も増えると思いますが、冬眠準備を迎え、熊の活動が活発になる時期を迎えますので、参考にされてください。
|認知症予防 メモリーカードゲーム
このメモリーカードゲームを作ったのは、RinさんとAyunaさんの二人です。これも力作なのです。
二人に共通していたのは、身近な人(祖父母)が認知症などにより、昔と変わってしまったという体験をしていたことでした。その共通の実体験を持っていた二人がタッグを組み、何か家庭の中で楽しみながらカードゲームを家族とする中で、高齢者の認知症を楽しみながら予防するようなものができないかと考えはじめました。どんな楽しいカードゲームが考えられるか、とアイデアを練る中で、そもそもカードをめくるというところから、高齢者には難しいのではないか、ということに二人は気づきます。では、トランプなどをする際に、高齢者もプレイしやすいように、クリップなどを作成してはどうか、と「めくりっぷ」という商品名まで思いつくところまで、アイデアを進めたのですが(笑)、そこから再度カードに視点を戻し、楽しく遊びながらも認知症を防げるようなカードゲームを自分たちに作ることに取り組み始めます。
探求活動を進めていく中で、高齢者にとって、昔なじみのことを思い出すことが、負担も少なく、認知症が進むことを予防できるのではないかと、二人は思い出を身近な人と語れるような神経衰弱を作ることにしました。その後、調べていくと、実際に「回想法」という名で、認知症予防の手法としても研究されていることが分かります。
その後、二人はどんな話題が高齢者にとって話しやすく盛り上がるかを考え、カードのサンプルを作成しました。高齢者がめくりやすいように端を折るなど、試行錯誤ののち、できたものを、実際の現場で働く介護士の方に見ていただき、高齢者の方にとって回答することが難しいと指摘された話題を抜いたりしながら(例:学生時代の部活動の話題など)、後に実際の介護現場である、プラトーケア涌波本店さんで、高齢者の方に実際にプレイをしていただけることになりました。コロナ禍ということもあり、実際に二人が施設の中に入ることは控え、介護士さんにお願いする形で、使い心地を試していただくことになりました。後日、二人はプラトーケア涌波本店のマネージャーの山岸さんに、インタビューをさせていただくことができ、実際に使ってみて効果的だった点や改善点などのアドバイスを直接聞くことができました。
そちらをまとめた生徒さんのレポートのPDFファイルと、実際のメモリーカードゲームを作成するためのデータを共有いたします。RinさんとAyunaさんの二人の望みとしては、実際に現場で働く介護士さんが、レクなどを準備する際にも活用していただけるよう、ダウンロードができるように、と考えていたので、以下にその実際のカードを添付いたします。介護現場の介護士さん達に届けば良いなと思っております。
|成果物のダウンロード
以下の5点全てをまとめて閲覧及びダウンロードされる方はこちら
※ゲームの遊び方はこちら ダウンロードの上、パソコンなどのパワーポイントで開き、スライドショーを見る形でのみプレーできます。動作上の改善点がございましたら、ご連絡ください。
熊に出会わないためには!? パワーポイント
※尚、こちらのPBLは今後は学校教育においても取り組みがされていくことなども考慮し、教室のすべてのカリキュラムに入れるべきかかどうかは検討中です。しかし、社会にある問題を知り、それに働きかけて行動できるということは大切な力だと考えておりますので、形を変えて、教室が育みたい力という位置付けは変わりません。